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日本伝統のひとつである「能楽」は約600年の歴史をもち、現存する世界最古の舞台芸術です。2001年には世界無形文化遺産に認定され、世界からも注目されています。能楽は、能楽堂と呼ばれる屋根のある専用舞台で、面を用い、物語(謡)、音楽(お囃子)、演技(能・狂言)など独特の演舞がひとつの舞台で繰り広げられます。能で演じられる物語は、基本的に幽霊や精霊、天女や物狂いが登場する、妄念や悲哀系とスペクタル系に分けられます。
現在は、能楽の五流派、金春(こんぱる)、観世(かんぜ)、宝生(ほうしょう)、金剛(こんごう)、喜多(きた)の各流派によって演じられています。
屋内の舞台
<撮影:NPO法人せんす>
「薪能」は「能楽=能」の入門編として、観客が分かりやすい物語(作品)が選考され、野外で薪の火灯りの中で行われる舞台劇です。薪能の源流は、奈良県の興福寺で平安時代から行われている修二会(しゅにえかい)で火を焚き、その火を囲んで“芸づくし”をやっていたことから始まったといわれています。主に、神社仏閣、御苑、城跡などの静かで、かがり火を焚くことができる広い敷地がある場所で行われます。野外という解放感により、能楽独特の堅苦しさがなく、各地のイベ
ントや年中行事のひとつとして催されています。かがり火の灯りで演じられる薪能は、自然と幻想的な世界へ引き込まれていきます。初めて観る方や、慣れていない方でも楽しめるとあって、最近は人気があるようです。
興福寺の薪御能
<写真:奈良市観光協会>
 
1. お調べ(始まりの合図)
舞台には誰も登場していませんが、舞台裏から笛、小鼓、太鼓などの音が聞こえてきます。これが始まりの合図です。
2. 囃子方や地謡方の登場(入場)
楽器担当の囃子方が登場し、その後に地謡方が登場してきます。舞台設定(作り物)がある場合は、地謡方の後に幕が上がって観客の目の前で設定されていきます。
3. ワキ方の登場→前シテの登場(物語前半の始まり)
物語を説明するワキ方が登場します。いわゆるナレーション的な存在です。そして、能面を着けたシテ方が登場します。このシテ方が主役です。物によっては、ツレというシテ方の補助的人物が登場するときもあります。
4. 中入(着替えと物語の復唱)
物語の前半と後半の間に、アイ(狂言方)が登場します。これまでのあらすじを語り、物語を後半へつなげます。演目によっては、中入りがない場合もあります。その時は、舞台上(観客の目の前)で装束を着替えます。
5. 後シテ方の登場(物語後半から終盤へ)
後半の主役(シテ方)が登場します。だいたいは、主役は同人物ですが、演目によっては、別々の人で演じることもあります。
6. シテ方→ワキ方→囃子方・地謡の順に退場(終了)
最後の舞を終えた後シテが退場します。その後、ワキ方、舞台設定、最後に囃子方、地謡方が退場します。すべての能楽師が舞台から退場すると終了となります。アンコールや挨拶などはありません。
能・狂言の上演ならば、狂言25分、能1時間〜1時間30分くらいです。
たいてい、狂言と能の間に20〜30分くらい休憩があります。
とくに決まりはありません。自由です。たまに着物の方もいます。薪能は、夕方から夜が多いため、春先や秋口などはひざ掛けやストールのようなものを持参されると重宝します。
能・狂言には、掛け声などはありません。狂言は、仕草や言葉などを楽しめる芸能なので、笑えるシーンが多々あります。そんな場合は、大いに笑って下さい。
舞台から遠い席の方は、面(おもて)や、装束をじっくり見るためにオペラグラスや双眼鏡などがあるといいかもしれません。
 
主催者の企画にもよりますが、ほとんどはNGです。
座る場所にはシートやパイプイスを用意しているところが多いです。それ以外の場所は座席ではないので、事前に問い合わせた方がいいでしょう。
「能」は伝統芸能のなかでも、内容を理解することが難しい舞台といわれています。能を楽しむには、まず、理解しようと思うのではなく、音楽(謡曲)やダンス(舞)、装束(衣装)、舞台、ストーリーなど、気になった部分に特化して楽しめばいいのです。また、事前にどのような物語なのか、簡単に目を通しておくだけでも理解しやすと思います。解る、解らないではなく、「素敵だった」、「雰囲気がよかった」などの感想が残ればいいのではないでしょうか。
能についての様々な事柄や質問に、NPO法人せんす運営の観世流シテ方能楽師、橋岡佐喜男さんにご協力頂きました。 能楽普及のために、多くのイベントを企画・運営している 「NPO法人せんす」 ホームページはhttp://www.sense-nohgaku.com/
また能について詳しく記載されている「能の誘い」
http://www.sense-nohgaku.com/noh/index.phpもご覧下さい。


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